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第一講 とりあえず、書いてしまおう

■理屈だけでは書けるようにはならない
小論文の勉強のやり方は実にシンプルです。
たくさん読んでたくさん書く。それにまさる勉強はありません。
参考書である程度のお約束を確認したら、あとは実践あるのみです。
知識を仕入れるための読書と、論理的な思考を鍛えるための読書の両方を心がけ、毎日少しずつでも書くことです。

小論文で求められること
小論文の命は説得力です。文章に説得力を持たせるためには、テーマを的確につかんだ上で、正しい日本語を使い、論理的に書くことが必要です。
ではそのために、何をすればいいでしょう。

■正しく読む
マジメに一所懸命読むだけでは、なかなか正しく読むことはできません。身に覚えはありませんか、読んでも読んでも頭の焦点が合わないカンジ。
しっかり要旨を把握するためには、要約練習をお勧めします。
論説文を読み、各段落を3分の1くらいのボリュ−ムにまとめ直してみるのです。まとめ直したものを読み返して、理屈が通っていれば合格です。

■正しく書く
気をつけるところは3つあります。
ひとつ。「ですます調」と「である調」を混ぜないこと。
ふたつ。くだけた話し言葉で書かないこと。例「やばいと思った」「今いち分からなかった」「ムカついた」など。
みっつ。係り受けに気をつけること。「私は彼らがそう思い込んでいることは誤解だったのだ」なんて文をときどき見ます。主語述語がちゃんと対応しているか、一文ごとに読み返しましょう。

■シンプルに書く
分かりやすいよい文章は、大きな流れがはっきりとひとつの方向に向かっているものです。話題をたくさん盛り込むのがよい答案だと思っている人もいますが、そういうものではありません。複雑な論説もつまるところ言いたいことはひとつだけで、その一本の道筋を際立たせ、読み手に納得してもらうために、いろいろな面 から光を当てているに過ぎません。

■まずは準備
流れのはっきりした文章を書くために、まずメモを作りましょう。
メモを作るときにもっとも多い間違いは、メモではなく下書きを書いてしまうことです。これではいきなり原稿を書き始めるのと変わりありません。 「メモ→答案作成」と「殴り書き→清書」とは全然違うのです。

■メモは見出し!
それでは、メモとは何か。ずばり「見出し」です。話の流れを導く見出しを作ることです。 もちろん見出しと言っても、短く格好のいいものを書く必要はありません。自分なりに論理の流れが見えればいいのです。
見出しに合わせて書くと、意外と筆が進みます。

「あなたの学校生活は」と聞かれてすらすら何分でもしゃべり続けられる人は稀でしょうが、「部活を始めたきっかけは」 「いちばん苦しかったのはどんなときでしたか」「忘れられない苦い思い出は」なんて聞かれたら、比較的話しやすいのではないでしょうか。メモはちょうどこの質問の役を果たすものなのです。

■メモの書き方
まず、主張の芯を決めます。「国際化を言う前に、まず日本人としての教養を身につけるべきだ」 ということを主張したいなら、これが芯です。
小論文は説得の技術ですから、次に説得のための材料を並べてみます。バラバラでも構わないので、思いつくまま書きつけていきます。「国際化は進んでいるのか」「英語ができても話が空っぽじゃしょうがない」「英語が通じない国の方が多い」「100カ国との相互理解のためには100カ国語が必要なのか→それは無理。相手のことを知ろうという気持ちが大切」「英語がペラペラで日本のことを何も知らない日本人は、単なる出来損ないの無国籍人ではないか」「相手を知ること(より?)も、自分を伝えることも大事」「相互理解は相互に尊敬しあうこと」「咸臨丸の日本人は尊敬された、国際的だった」「私の知っている外国人は、明治村は面白くないと言う。西洋の真似だから」「英語は必要条件であって、十分条件ではない」……

■思い切って捨てる!
こんな風に書き出したものから、つながりのよさそうなものを組み合わせて流れを作ってみます。ここで大切なのは、流れに合わないものは、どんなに惜しくても思い切って捨てるということです。
小論文は雑学の量を競う場ではなく、修辞の華麗さを競うものでもありません。気の利いたことを思いつくとついそれを使いたくなるものですが、どんなにすごいネタであっても流れを乱しては元も子もありません。使うか使わないかの判断は、あくまで説得力を増すかどうか、です。
植木を剪定するように、思い切ってシンプルにしてみましょう。