情報化社会ばんざい

 

 

 

数日前に、
NHKのエビサワ会長が辞任すると発表された。
ところがその後エビちゃんが顧問に就任する、
と報道されたものだから、
NHKには抗議の電話が文字通り殺到したそうである。
その数なんと数万件。
回線がパンク状態で、どうにもならなかったという。

きっとこの話は、
民衆の声が巨悪を倒した話として
語られてもいるだろうし、
健全な民主主義の表れだと
快哉を叫んでいる人もいるだろう。

しかしぼくには、
エビちゃんがとんでもなく悪い人で、
それに耐えかねたフツウの人たちが
ついに怒りの声をあげた、
という風にはどうしても思えないのだ。

そうではなく、
実はみんな、
ただ何かに怒りをぶつけたくて
ウズウズしていたのではないのか。

誰でも構わないから、
こっちの神経を逆なでするようなことを
してくれないか、とばかりに
あたりを見回しながら、
怒るチャンスを待っていた、のではないのか。

ま、かく言うぼくも、
NHKに対する「抗議運動」が気に入らず、
怒るチャンスを待っていたクチだから、
えらそーなことは言えないのだけれど。

それにしても、
日本中の人たちが、
せっせとチャンネルを変え、
また新聞を繰っては、
腹の立つ不祥事はないかいな、
悲しい事件はないかいな、
許せない凶悪犯罪はないかいな、
不安な報道はないかいな、
なんてことをくる日もくる日も続けていて、
そういうものを見つけては、
怒ったり、非難したりして楽しんでいるわけだから、
わが国の情報化の行き着いた先は、
一種奇怪な世界と言うほかない。

今回の騒動で
NHKのみなさんは、
さぞ悩まされたことだろうが、
不正に対して怒るチャンスを待っているような
いびつな視聴者を作り出したのは、
ほかでもない、
あなたたちマスコミなのだ。

不祥事がどうのこうのという以前に、
そういう視聴者を育ててきたということ自体、
自分の播いた種ってことなんだから、
ま、 いじめられても、しょーがないと言うしかない。

あとはただ、民衆の正義が悪を裁く、
なんてことがエスカレートして、
魔女狩りのようにならないことを願うだけだ。
妙な正義がはやらなけりゃいいんだけどなー。