さよなら、2千円札

 

2千円札が使える自動販売機は、とても少ない。
銀行のATMですら、受けつけないものが多い。
しかし不遇の4年間を過ごした2千円札に、
希望の日が近づいている。
ご存じのとおり、11月に新しいお札が発行されるのだ。

新しい千円、5千円、1万円札に対応するため、
ATMや自動販売機の紙幣認識装置は、
当然改造されることになる。そうなると、
「ついでだから2千円札も使えるようにしよう」
と考えるのが自然の流れだろう。

ところが、実際にふたを開けてみると、
ほとんどの金融機関や自販機メーカーは、
相変わらず2千円札に対応する考えはないらしい。
理由は明快、「ニーズがないから」である。

たしかにそのとおり。
2千円札なんて、ぜんぜんいらない。
そして、いらないという主張には、
だって使ってないもん、という以上に、
しっかりとした根拠があるのだ。

ずーと以前に聞いた話なのだが、
なんでも人には、「ひとめで分かる数」
というのがあって、たいていの人は、
5つまでのものならば、数えなくても
見ただけで分かる、らしい。
ほほー、なるほど。
試してみると、確かにそうだ。

10円玉を9枚ばっと出されたら
数えなくてはいけないが、
10円玉4枚と50円玉1枚なら、
なるほど、一瞬で90円だと分かる。

5円玉、50円玉、500円玉、5000円札の存在には、
そういう合理的な理由があるのだ。
じゃらじゃら数えにくい小銭なんぞを、
「5のかたまり」と「余り」に分けることで
一目で分かるようにしてあるのだ。
こうしてお金は、
数えやすさ、間違えにくさという重要な特質を
備えているわけである。

ところが2千円札だけはそうではない。
ぜんぜん分かりやすくないのである。
たとえば9000円というお金を出すのに、
「2千円札4枚と1000円札1枚」
「5千円札一枚と2千円札2枚」
なんて出し方をすると、とても分かりにくい。
なぜか。
それは、千円札なら枚数を数えただけで、
それがいくらか分かるのに対し、
2千円札の場合は、お札の枚数だけでなく、
2000×4+1000、などと
数字を計算しなくてはならないからだ。

もともと2千円札は、
必要に迫られて作ったものではない。
西暦2千年とサミットを記念して作ったのである。
記念切手ですませればよいようなものだが、
それでは地味すぎて実績にならない、
とでも思ったのかもしれない。

どんな思惑があったのかは知らないが、
4年経ってもまるで普及しないお金など、
いらないことは明らかである。
この新札の発行を機に、
思いきって廃止しちゃった方がいいのではないか。

どうしても残したいのなら、いっそ
愛知万博を記念して「2005円札」を作るとか、
消費税の支払いにべんりな「1050円札」を作るとか、
小泉総理の誕生年を記念して「1942円札」をつくるとか、
そこまでやったらどうだろう。
歴史に残ることだけは、うけあいである。

そうそう、言い忘れたが、
わたしは、2千円札が嫌いなみなさんのために、
不要な2千円札を無償で回収するサービスをしている。
現金書留でお送りいただくか、
銀行口座に振り込んでいただくだけでよいので、
2千円札を快く思っていない人は、
遠慮なくご利用されたい。