いや、ただの見張りですから

 

 

 

ぼくはほとんどテレビを観ないので、
世間でどんな騒ぎが起こっているのかよく知らないのだが、
もしかしたら、先週あたり国会議事堂の周りを30万人の人が取り囲んで暴動が起こったとか、
それを鎮圧しようとした機動隊が催涙弾を水平発射してけが人が出たとか、
テレビ局とラジオ局と新聞社が占拠されたとか、
市ヶ谷の自衛隊駐屯地を乗っ取ってバルコニーから演説した人がいたとか、
そんな騒ぎはなかっただろうか。

だって、イージス艦とかいう高性能な軍艦が、アメリカの戦争を支援するためにインド洋に派遣されたっていうからさ。
いや、ずっと後ろの方で燃料補給とか情報収集をするだけだから、なんて言っているようだけど、
戦時における補給やら情報収集やらが、作戦を背後で支える最重要のオペレーションのひとつであることぐらい、ぼくだって知っているぞ。

要するに今回の派遣というのは、
番長のアメリカさんが、隣町でのさばっている野郎が気に入らない、さあ殴り込みに行くぞとおっしゃるものだから、
んじゃ、あたしもお供します、いや前回の湾岸戦争ではみっともないところをお見せしまして、ってことなんだろう?

いや、こういうたとえは正しくないな。
アメリカ人が、イラクの人たちを殺しに行くというから、
日本は、それじゃと言うんで見張り役を買って出た。
つまりはそういうことだろう。

こいつのどこが防衛なのだ?
アメリカにほめてもらいたい気持ちは分かるが、
日本が実際に攻められてもおらず、攻められるおそれもない今の状態で、何で自衛隊が行かなくてはならないのか、ぼくにはちーとも分からない。
憲法上どうすればこういう派兵が許されるのか、まったく理解できない。

戦争というのは人殺しじゃないか。
そして見張りというのは立派な共犯じゃないか。
「いや、危なくないから」
って、そういう問題じゃないだろう。

第一これが正しい国際協調であり、正義の実現であると信じるのならば、堂々と国会で論議すればいいじゃないか。

聞くところによると、
イラクはどうやらテロ組織を支援しているらしいし、
核兵器や化学兵器を開発しているらしいし、
今や世界の平和に対する現実的な脅威となっているらしいし、
平和的な交渉に応じる見込みはまったくないらしい。
だから先制攻撃以外に平和を守る方法はないのだ、
という主張も、もしかしたら正しいのかもしれない。

うん、それはそれでいい。話は分かった。
だったらそういう議論を、内輪の閣議などではなく、
きっちり国会でやってくれないか。

だってそれがいくら正しくても、
軍艦を派遣する=戦争に参加する
ということに変わりはないのだから、
まず「憲法を改正して戦争放棄の国是を捨てたい」旨をはっきり表明し、
もって国民の信を問い、それから派遣するのが筋というものだろう。
それが民主政治というものじゃないのか。
こそこそ派遣を決めて、
あれやこれやの既成事実を積み重ねては
憲法をなし崩しにしていくというやり方は、
何だかちーと、国民の皆さまを馬鹿にしてないか?

で、こればかりは違っていてほしいのだけど、
あんまり騒がないマスコミの皆さま、
今回の海外派兵、
まさか「森さんだったら許せないけど小泉さんならいいか」
ってことじゃないんだよね、ね、ね。