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北海道西友の騒ぎには、怒り驚きよりも、恐怖を感じた。
輸入肉を国産と偽って売った。それが発覚し、店はお詫びと反省のしるしにレシート不要の返金に踏み切った。
すると千五百人以上の人が殺到し、とうとう売上額の4倍もの金額を「奪い取って」いったというのだ。
どうやらこの騒ぎは、「西友に行けば3万円もらえる」という情報がケータイに乗って駆けめぐり、茶髪鼻ピーの馬鹿ちゃんたちの間に、もらわなきゃソン、という空気が一気に広がって起こったものらしい。
「家族で90万円もらった」なんて聞かされて、馬鹿ちゃんたちはいてもたってもいられなくて、どっと店に押しかけたのだ。
「キャンプに行った」と数十万円要求したり、服を着替えて何度も列に並んだりと、あたかも当然の権利を行使するがごとき熱心さである。
浅ましい。
と言うよりも、第一これは詐欺である。恐喝である。ついには暴行に及んだ馬鹿ちゃんもいたが、こうなればもう強盗である。
たかだか3万円のために、たましいを汚すようなことをしては割が合わないとは思わないのか。
人の弱味につけ込んで、火事場泥棒をするような性根の卑しさはもちろんだが、それよりも、自分にはもらえる資格がないことを承知でいながら、ほかにもらった人がいるからとそれを不公平と思い込む気持ちやら、もらう資格があろうがなかろうがもらわなければソンだという発想を、何百人もの若者が共通して抱いていたということに驚いてしまう。
返金の平均額は3万円にも及んだらしいが、このご時世に茶髪鼻ピーの兄ちゃんがだよ、そろいも揃って3万円も肉を買いました、なんてこと、あるわけないじゃないか。最高じゃなくて、平均だよ、平均。
返金制度の本家アメリカでも、いろいろな話を聞く。
週末にパーティー用のドレスを買い求めて使い終わったら返品するやら、料理に失敗すると肉が傷んでいたと言い張って返品するやら、なかなかすごいことになっているらしいが、それでもそれは、ごくひと握りの人たちにだけ見られる例外的な行動に過ぎない。
一方ここ日本では、あっという間に1600人もの人が殺到し、おれもわたしもと声を荒らげ机を蹴って返金を迫ったというのだから、事態はもう、はるかにアメリカを越えている。
見てくれ、これがぼくたちの祖国の姿なのだ。
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