ぬいぐるみ爆弾の恐怖

 

 

 

ボスニアでぬいぐるみ爆弾が使われていたということを、
高校生の英語の長文問題で読んで初めて知った。

爆撃を避けるために家を空けた隙を狙って、
その家の子どもが残したぬいぐるみに爆弾を埋め込んだ、
という話だ。
その結果、いとけない5歳の女の子が
無惨に命を奪われたという。

たまたま英語の解釈について質問されただけなのだが、
ぼくはやや正気を失って、
まったくこれは最低最悪の兵器だ、
と質問内容も忘れて声を荒らげてしまった。
質問をした当の高校生が
「兵器としてはなかなかいい考えじゃないですか」
なんて言うからますますムキになって、
「第1次世界大戦までの戦争は、軍人同士の戦いだった。
戦争は本来そういうルールでやるべきものだ。
それなのに、非戦闘員の最たる者である女の子を狙うとは
何たる卑劣だ。」とか何とか、一席ぶってしまったのさ。

授業を終えた後もその話が頭を離れなかったので、
インターネットで調べてみた。

ところが、いくら調べてみても、納得のいく記事が出てこない。
ぼくの探し方が悪いのか、何件かヒットはするのだが、
話の出所はみな同じなのだ。
こういう場合、ぼくは話を鵜呑みにしないことに決めている。

ややこしい言い方だが、
これを人間存在のあり方を示した「真実」と見なすことは構わないが、
現実に起きた「事実」として捉えることには慎重でいたいのだ。

この唯一の出所というのは、K柳T子さんだった。
彼女の本はきっと数十万部売れているだろうから、
ぬいぐるみ爆弾の話は、すでに何十万人かの人が知っている有名な事件といってよい。
それでは何十万人が信じていることを理由にこの話を事実と見なしてよいかと言えば、それは別問題だろう。

あったかなかったか、なんてことは、多数決で決まるものではない。
著名な人がまごころを込めて書いた本なのだから間違いない、というものでもない。
まして「こどもを狙うぬいぐるみ爆弾の存在を疑うなんて、あなたには良心ってものがないの?」なんて話になるとこれはもう、理屈にもなっていない。

この件について、トットちゃん以外の報道をご存知の方は、知らせていただけないだろうか。
ぼくは実際、本当のところが知りたくてたまらないのだ。