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毎年8月になると、新聞でもテレビでもきまって戦争をふり返る特集が組まれる。そうやってあの戦争は、もう57年も語り継がれてきたことになる。
しかしいくら語り継がれてきたとはいっても、やはり昔のことは昔のこと、子どもたちはおどろくほど戦争を知らない。
たとえば、中学生の多くは、ヒトラーという人物を知らない。
日本とアメリカが戦争していた事実を知らない。
今なお原爆症に苦しむ人がいるという事実を知らない。
パレスチナで凄惨な戦闘が繰り広げられ、無辜の人々のいのちが踏みにじられ蹴散らされていることや、
朝鮮半島で韓国と北朝鮮が分断され、今なお交戦状態にあることが、
いずれも57年前に終わったはずのあの戦争に端を発していることなどを、知っている子はごくわずかだ。
もちろんこれは子どもたちのせいではないし、
その時代に当たり前だったことが、時間とともに徐々に忘れられていくことは、不思議でも何でもない。
栄華を誇った都の場所が分からなくなってしまったとか、広く使われた言語が消滅してしまったとか、そんな例は歴史の中にいくらでもある。歴史というものは、いくら大きな出来事でも放っておけば忘れてしまうものなのだ。
だから、大切なことは、いつまでも語り続けなくてはならない。
それもただ戦争の悲惨を訴え、情緒的に戦争反対を唱えるのではなく、
誰もが平和を願っているにも関わらず、どうして戦争が起きてしまうのか、
戦争を嫌うあまりナチスドイツの台頭を許してしまった英仏の過ちをどうすれば避けられるのか、
などということを、きちんと理性的に考えなくちゃいけない、と思う。
わたしたちは強盗に反対します、と言っていれば強盗に遭わずにすむ、というものではないんだから。
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