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夏休みに図書館借りた本がとても面白かったので、
改めて自分で買って、読みなおしてみた 。
「小さな動物学者のための観察ブック」という本だ。
これは、漫画家を生業とし、動物観察を本業とする(かどうかは知らないが、そんな感じの)人が書いた本で、
ムササビ、ウサギ、リス、ハクビシン、カワウソ、コウモリなどの動物の生態が著者自身の観察に基づいて、分かりやすいイラストつきで紹介してあるのだが、
これがもう、読み出したらやめられない。
うーん、何というか、アフリカに住むライオンではなく、
そこらの里山に住む動物を扱っているところが、
いかにも冒険心をそそるというか、
全然アウトドア派ではないぼくのようなおじさんまでも、
よし、今度の日曜日は山に行って、動物の観察をしよう!
という気分にさせてくれるのだ。
動物のからだのつくりや生態を詳しく説明している部分が面白いのはもちろんだが、ところどころにはさんである静かな主張が、またいい。
たとえば、
野猿公園から観光道路に降りてきたサルには、けっしてエサをやってはいけない。
観光客が来なくなった冬場、人間を恐れなくなったサルは畑を荒らすようになる。そうなったら害獣として殺されるのはサルのほうなのだ
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なんて書いてあるのを読んでは、ああ、そんなことは考えたこともなかった、と反省させられたりする。
たしかに言われてみれば当たり前のことなのだけれど、ぼくたちはともすれば「かわいい」だの「かわいそう」だのと、つい目先のことだけを考えて、軽はずみなことをしがちだ。
たとえば傷ついた小さな動物を助けることは、その動物を食べて生きているほかのいのちを脅かすことなのだと、ぼくたちは考えてみたことがあるだろうか。
人間と動物の共生があり得るとすれば、それはお互い仲良く暮らすことではなくて、人間は人間らしく人間の世界で、動物は動物らしく動物の世界で、お互いに触れ合うことなくそれぞれの世界を生きることなのかもしれないのだ。
面白いところを紹介しはじめるときりがないのだが、
リスがクルミを植え、育ったクルミがリスに住みかとエサを提供する「リスとクルミの自然の契約」だとか、
アリクイの派手な体のもようは、自分よりも背負った子供を目立たなくするためのものだとか、
クマは「べあー」と鳴くだけでなく、危険が迫ると「くまっ、くまっ」と鳴く、なんていった小ネタの楽しさったらないし、
実際のフィールドから学んだ足跡やフンの「読みかた」の深さには、ほんとうに感心する。
確かにこういう本を読んだからと言って、すぐに自然が大好きになったり、動物愛護に目覚めたり、リュック担いで今日から山男になってしまうわけではないのだが、
実際の行動に結びついてもつかなくても、何かに触れて、いいないいなと居ても立ってもいられないような興奮を覚えるというだけでも、十分素晴らしいだろう。
総ルビつきで、誰でも読めるし。
ムササビの滑空のパラパラマンガもついてるし。
作って遊べるペーパークラフトもたっぷりだし。
こういう本が売れなくちゃいけない。
読書の秋の始まりに、ぜひこれを。
「小さな動物学者のための観察ブック」。
ブロンズ新社。熊谷さとし著。税抜き1942円。
ISBN4-89309-120-4。

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