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2004-03-08 鳥インフルエンザの悲劇
まったくフォローしていないニュースについて語るのは気が引けるのだが、あまりといえばあまりの話なので、ひとこと書く。
例の鳥インフルエンザの話である。ついに渦中の会社の会長夫妻が自裁するという実に痛ましい展開になってしまった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
それは、ひと言で言えば、いきなり襲いかかった巨大な天災を前に、正しい判断ができなかった、ということに尽きる。おそらく会長は、まず、しばらく様子を見てから判断しよう、と思ったのだろう。そのときには、あれほどたくさんの鶏が死ぬとは予想もしなかっただろう。そして毎日毎日千羽もの鶏が死んでいくという事態を迎え、あまりの深刻さにまたもや判断を停止してしまったのだろう。辛いことから今日一日だけと目をそらし、解決を先延ばしにしてしまったのだろう。
鳥インフルエンザという伝染病に襲われたのは、この農場にとって、天災に他ならない。そのこと自体は、世間の同情を集めこそすれ、非難されるいわれはなかったのだ。ところが彼らは、何もしないというもっともありがちな、しかし最悪の判断をしてしまったために、こういう展開を迎えることになってしまった。
彼らにとって鶏をすべて処分するということは、工場が生産設備をすべて廃棄するということと等しい。昨日まで絶対の善と言われてきた「利益を最大にする」という経営目的を一夜にして捨て去り、利益どころがこれまでの何十年という人生そのものを投げ捨てるような選択など、そうそう簡単にできるものではない。
そもそも事件というものは、事件の起こっている現場ではそれほどドラマチックなものではなく、いっそ淡々としているという。今目の前で起きていることが国家的な大問題で、このおれの判断に日本中が関心を抱く、なんてことを予見できるはずもない。
何をとっても、この事件は、彼にとっては荷が重すぎたのだ。
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