2003-12-26 おおつご森

こどもに作文を教えていると、ときどき妙ちくりんな表現に出くわす。ぼくはそういうとき、間違いを正さずにそのままにしておくことが多い。国語を教えている以上、もちろん正しい表現を教えなくてはいけないことは分かっているが、「正しく書かなくてはいけない」「正しいと確信できる表現しか使ってはならない」なんてことをこどもが意識しだしたら、とたんに作品がつまらなくなることは目に見えているからだ。
ぼくの塾では、短いお話をよく聞いてそれについての質問に答える「おはなしの記憶」というコーナーがあるのだが、今日はそこで「大みそか」についての話をした。「みそか」は漢字で書くと「三十日」、旧暦では月が見えなくなる日だから古くは「月ごもり」と言い、転じて「みそか」のことを「つごもり」というのだよ、なんてことを話したら、低学年の子たちは案の定「大つご森」なんて書いている。こういう間違いを見つけても、ぼくはたいていそのままにしておく。せっかくこどもが意欲満々で漢字を使おうとしているところに、あえて水を差すこともないからだ。放っておいてもこんな間違いはいつか自分で気づくだろうし、そもそも「大つごもり」と正しく書かなくてはいけない機会などめったにあるものではない。だったらそのまま書かせておいて、知っている漢字をどんどん使う気持ちを大切にしてやったほうがいい。間違いに目をつぶるというのは塾としてはなかなか勇気のいる選択だが、間違いをなくすばかりが教育ではないのだ。